一年間を振り返るのがこんなに難しいとは思わなかった。まとめるなら一ヶ月ごととかの方がいい。
去年の末に腰がめちゃくちゃになっていることを自覚し、動くのが辛く、あまり歩けなかったりした。来年になったら手術を受けることになると思う。
痛みを堪えながらきいたりしたアルバム24枚をあげていく。
初めに、Apple Musicにはあるアルバムから1曲ずつ選んだプレイリスト
https://itunes.apple.com/jp/playlist/2018/pl.u-yZyVDzLTqdAq2V?at=10l8JW&ct=hatenablog
順番は意味がないので気にしないでほしい。
Vince Staples - Big Fish Theory
特に最初と最後の曲が好きだ。Zack Sekoffのトラックが特に良い。
改めてAutechreとかF.U.S.E.とかいったIDMをしっかり聴きかえすきっかけになった。ヒップホップのトラックのミニマムさと電子音の良いところの交わるようなところがある。
夜になると迷うことなく聴いていたことが多かった。
Depeche Mode - Black Celebration
Depeche Modeに特徴的なコード進行があって、A Question Of Lustなんかに顕著だと思っているがそれがクセになる。他のアルバムも聴いていったが、新鮮さと完成の度合いのバランスが良いと感じる。ひょっとしたらアランワイルダーによるアレンジがめちゃくちゃデカいのではないかとも踏んでいる。
New Dressがクソ強いキックに凶悪なベースライン、ミニマルウェイブ的なピュっていうスネアとか強烈で良い。NINにもはっきりと通じると思う。他の曲(Stripped)で使われたサンプルが最後に鳴り、アルバムの繋がりもしっかりしていて気持ちがいい。
あと多くの曲で聴くことができるがスネアの連打で音程の変化があり、これが意外にかなり効いている。シーケンサーでやりやすかったとかか?思えば既にいろんな80年代の曲でもそうだった気がしてきたが、これはとても楽しいものだ。
また、B面曲のBreathing In FumesはStrippedのリミックでありほぼインストゥルメンタルで、それもまたNINのCloser To Godとかを思い出してよかった。
これもB面になるがまだ過渡期の感が残るBut Not Tonightは意外に明るく切ないインディポップ的で面白く、またいい曲だ(今もライブで披露されているらしい)。
SOPHIE - OIL OF EVERY PEARL'S UN-INSIDES
可愛さと暴力性みたいなやつ…宮本フレデリカみたいなやつ?
Stereolab - Transient Random-Noise Bursts With Announcements
まだシューゲのやりかたが形式とまではなっていないころにシューゲをやろうとし、クラウトロックも取り入れ、60年代ポップスみたいなことやろうとしてそこまで洗練されていないのがいいのかなと思う。音響に対する意識もある。俺はただハンマービートが好きなだけなのかもしれない(あかん、ハンマービートの宝石箱や)。あがきみたいな音楽も好きだ。
Eli Keszler - Stadium
あかん、リズムの宝石箱や。
Autolux - Transit Transit
シューゲイズ/オルタナバンドと括れているが、NIN的なエレクトロニクスの多用も良い。暗くて虚無い。
mukuchi - deep(sea)learning
すごい音だし詩的で私的で海が好きだ。
Oneohtrix Point Never - Age Of
こわい、という感想を聞いてたしかにこわいのかもしれないと思った、めちゃくちゃ聴いた。
Radian - On Dark Silent Off
Radian - Rec.Extern
去年から今年の春にかけてずっと聴いていたらしい。殺伐、荒涼としたドローイングのようだし、ミクロとマクロを行き来して感覚がグラつくような良さがある。
並木達也 - 偶然の近くに
山本精一を思い起こさせるようでいてよりエモーショナルでメランコリックで良かった…。
Dabrye -One/Three
春い。
Vakula - A Voyage to Arcturus
夜、雨の上野を歩きながら聴いたことをはっきりと覚えている。
一生こういうストリングス、ブラスの響き方が好きですよね。
Sly & Robbie meets Nils Petter Molvær feat Eivind Aarset and Vladislav Delay- Nordub
曲を作っている時よく考えたら自分はダブ的なサウンドを求めているなと思い、ダブをちゃんと聴くことにしたら完全にハマった一年だった。自分がバンドPot-pourriでダブ処理を担当しているので、ダブの面白さは身近にあったのだった。
またさらに身近に、俺が小学生の頃にめちゃくちゃやっていたレゴのパソコンゲームでずっとダブが流れていたのを思い出した。
ゲームのBGMでダブを流すのは飽きがこないのでかなり理にかなっているし、大昔に(伝説の…)田中宏和氏はファミコンのバルーンファイトやレッキングクルーでレゲエのリズムやベースを取り入れることを試みていた。関係ないけれど任天堂のファミコンのBGMのアルバムもよく聴いたが田中宏和作曲が異常に出来が良い。
レゲエのベースラインがジャングルに繋がっているのも実感した。
このアルバムは豪華すぎてよくわからない。
Ivan Lins - Sómos Togos Iguais Nesta Noite
田中秀和神の曲がどんどん神と扱われていくが、ブラジル音楽との接点を指摘する人も多い。ここ何年か、そういった流れや上田麗奈さんがアルバムリリース時にリファレンスとしてエグベルトジスモンチを挙げていたことからブラジル音楽を聴いている。このアルバムはブラジル音楽好きのアイカツオタクの人のツイートを見て知った。ポップで強烈なコード進行でなるほどと思った。めちゃくちゃ良い。
Nine Inch Nails - Bad Witch
挑戦をやめず、諦めずに怒り続け、できることを少しずつ広げていく感覚がある。
Yves Tumor - Safe In The Hands Of Love
今年一番聴いた。
ハードで大仰で繊細で良い。音楽の中に矛盾を織り込むことができてそれがとても面白いものであることをよく言われるが、そういうことです。NIN然り、意思の中で渾沌としているものが一番好きだ。
cero - POLY LIFE MULTI SOUL
これじゃあceroさんじゃん。最後の曲めちゃくちゃ聴いた。サウンドが良い。
Wolfgang Voigt - Freiland Klaviermusik
ただ現代音楽に四つ打ち足しただけじゃね?みたいに思え最初聴いたときは正気か?と思ったが中毒性がある。聴いていると気持ちがいい。
あとあまり面白くなかった映画「続・終物語」のBGMでこれと同じ手法の音楽が流れていて、そこだけめちゃくちゃニヤついてしまった。
Beak> - >>>
前より洗練されよりクラウトロック的になったのでダサさとかっこよさのバランスがいい。瞑想的で、夜に腰の痛みを耐えながら歩いているとき聴いた。
The Other People Place - Lifestyles of the Laptop Café
これとあとDrexciyaもよく聴いた。ソニマニでFlying Lotusの最高の集大成みたいなライブの後にLet Me Be Meが掛かり、最高の気分だった。
Death Cab For Cutie - Thank You For Today
泊まりの行事で泥酔し完全に振る舞いを失敗し、二日酔いの状態で最悪の気分の帰りのバスで何を思ったか延々とイヤホンで聴いていたのをはっきりと覚えており、また「60 & Punk」は屈指の名曲だという事実がある。
Cloud Nothings - Last Building Burning
メロディックでありながらそのメロディがそこまで叙情的ではないというのは常に求めているバランスのような気がしているのだが、このバンドはそういうところをちゃんと突いてくるし、今回はよりカオティックな展開なんかもありつつ前作より曲の統一感があって、めちゃくちゃアルバムとしてよく聴いた。アルバム毎のプロデューサーによる雰囲気の変化も良い感じに作用していて最高。ギターもモアレのように重なったりするところがひたすら好きだ。
そしてこれは今年の後半になって突然思いつき、気持ち的にはそういう聴き方なんとなく嫌だなと思いつつも、特に気に入った曲を追加していったプレイリストです。めちゃくちゃ聴きました。
気づかなかったもの、理解し始めたものとか、音楽は常にそこにあるな……と当たり前のことだけれど思うことが多かった。これは毎年で変わらずにしょっちゅうNIN、アジカン、People In The Box、Brian Eno、American Footballなんかを聴いていたみたいだが、例えば寒い秋の真昼間の歩道橋の上で突然NINのVesselが自分の中でとてつもない響き方をしてびっくりすることもあった。常にそこにあったものが見えたり、思い出したときの歓びがある。